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2021.01.06
【南川コラム】半月板損傷の原因と治療法
『膝を曲げたり伸ばしたりする時に引っかかる感じがする』『歩く時や階段、しゃがみ込んだときに痛い!正座したくても膝が曲がらない』などの症状はもしかしたら"半月板"を損傷しているかもしれません。今回は『半月板損傷』の症状や治療方針について解説していきます。
半月板損傷とは?
半月板は膝関節の中にある組織の一部で、ジャンプなどの衝撃を分散させるクッション的な役割(衝撃吸収)をします。
この半月板にストレスがかかることで損傷し、その一部が膝関節内に挟まって曲げ伸ばす動作を邪魔したり、痛みで上手く歩けなかったり正座ができなくなるなど、日常生活やスポーツに問題を引き起こします。
どんな場面でケガが起きる?
主にスポーツと加齢により半月板の性質が変化し損傷する場合があります。
【スポーツ】体重が加わった状態で膝を捻る、曲がった時に半月板が挟み込まれ損傷します。
【加齢による変性】加齢に伴い変性するので40歳以上では少しの外傷でも半月板は損傷しやすくなります。
どんな症状が出るの?
半月板を損傷すると、下記のような様々な症状が出ます。
・膝の内側や外側の痛み
・膝の曲げ伸ばしをする際の引っ掛かり感
・最後まで膝が伸びない
・膝関節まわりの腫れ
どんな治療をするの?
治療は、症状や断裂した場所、変形の程度、活動性、年齢、社会的背景などを総合的に考慮して各治療方針を選択します。
これからそれぞれの治療法についてご説明します。
保存療法の場合
保存療法の場合、下記の医学的情報を元に治療方針を決定していきます。
①自己修復が可能な半月板損傷の場合 (医学的に、血流のある部分の半月板損傷と血流が乏しい半月板損傷があります)
②受傷後、早期に痛みや腫れが軽減するような比較的軽度な損傷の場合
③日常的に運動する機会がない方、もしくは重労働でない場合
主な保存治療は、ヒアルロン酸注射やリハビリ、足底板などの方法で症状の改善を図ります。
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関節注射(ヒアルロン酸)
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リハビリテーション
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足底板(インソール)
手術療法の場合
当院の半月板損傷に対する手術は、関節鏡を使った『鏡視下手術』です。
術式には『①半月板切除術』と『②半月板縫合術』の2つの方法があり、どちらの術式にするかの判断は『保存療法にて症状の改善が認められなかった場合』や『早期復帰を目指す場合』などの情報を考慮し、選択しています。
下の図のように半月板は、外側の赤い部分は血管が多く、内側の白い部分は全く血管がありません。そのため外側は修復する可能性が高いですが、内側になるほど修復が困難となります。
血管の多い部分に対しては『縫合術』、他の部位では『切除術』を選択する場合が多いです。
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半月板(上面図)
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半月板(断面図)
Q&A(患者様からよくある質問)
手術をした場合、入院期間はどれくらいですか?
【切除術】期間は約1週間程になります。術後翌日より歩行を開始して、日常動作の練習へと移行します。
【縫合術】体重をかけれない期間が3週間あり、3週以降より退院が可能となります。
※どちらも目安の期間ですので、主治医に相談ください。
スポーツ復帰はいつからできますか?
【切除術】術後1か月~ジョギング開始、徐々にスポーツ復帰
【縫合術】術後3か月~ジョギング開始、術後6か月~スポーツ復帰
半月板損傷を治療しないとどうなりますか?
症状があるのに損傷した半月板を放置すると膝関節の変形が進みます
縫合術の場合は受傷後3か月以内の手術が望ましいと言われています。
コラム監修
【記事監修】市村竜治 医師
【専門】膝関節外科・人工関節・外傷
【資格】
日本整形外科学会 専門医
日本人工関節学会 認定医
日本DMAT医師